
本日はフィルム写真に欠かせない現像液のお話です。フィルムを取り巻く環境は年々か細く、力弱くなるばかりですが、それでもフィルムは継続して販売され、たまに新フィルムが出たり、復刻されたりして、まだまだ続けられる環境があるだけでも有り難いことです。本日のテーマである現像液も、富士フイルムがちゃんと供給してくれるので助かっております。
という訳で、今回は富士フイルムの現像液SPD(スーパープロドール)について。フォマパン400/マリックス400での現像時間や仕上がり具合など、使い勝手を確かめてみました。
初めてのSPD(スーパープロドール)
まずはSPD(スーパープロドール)の概要について。SPDは今回が我が人生初の使用であります。
SPDは「標準」現像液

常用している富士フイルムのミクロファインがたまたま品切れだったので、埋め合わせ的にSPD(スーパープロドール)を試してみることにしました。富士フイルムによりますと、SPDは「迅速・標準~増感微粒子現像液」で、標準現像(フィルムの感度通りの現像)や増感まで幅広く使えるのが特徴だそう。
一方、いつも使っていたミクロファインは「超微粒子現像剤」で、「粒状性は極めて良好」と富士フイルム自ら豪語するくらい微粒子に仕上がる現像液。今はなき(あります)コダックで例えるなら、SPDがD-76、ミクロファインがXTOLという感じでしょうか、知らんけど。
SPD(スーパープロドール)のフォマパン400(マリックス400)の現像時間が分からない
もしD-76と等しいなら、SPDの仕上がりイメージも何となく想像つきます。問題はフィルム別のSPDの現像時間がよく分からない・・・。フォマパンは何分かかるんだい?
SPDの現像時間は1対1希釈で7分

SPDのパッケージにはネオパン100の現像時間が記載されており、それによると20℃/1:1で、ほっ、6分30秒とな!? 短っ(◎_◎;)!
富士フイルムのHPでも念のため確認したところ、ネオパン400で20℃/1:1、7分ですっとな(135も120も)(⇒出典)。普段使っているミクロファインよりも4分短い現像時間で、なんとまぁ時短なことか。
フォマパン(マリックス)の現像時間は何分?
ではSPDでフォマパン400(マリックス400)を現像するには何分かかるのか!? これが困ったことにどこにも載っていません。頼みの綱のThe Massive Dev Chartにも記載なし。
唯一、フォマパン200の記載があって、20℃/1:1で減感処理(200⇒100で現像)して5.5分だそう。ケントメア400は標準現像で10分30秒と、ちゃんと記載あるのにフォマパンはなぜないのか・・・。
仕方なし。行き当たりばったりで自分で試してみるしかありません。失敗万歳、これぞフィルムの醍醐味。
SPD(スーパープロドール)でMARIX 400(フォマパン400)を現像してみた
という訳で、早速にSPDでの現像に挑戦。以下はすべてマリックス 400(=フォマパン400)をSPDで現像したもの。現像は厳密に20℃、1対1希釈で、プレスト400と同じ7分間(最初の30秒を連続撹拌後、1分ごとに10秒撹拌)で処理しました。
SPDとマリックス400(フォマパン400)日中の写真


こちら、SPDの(ほぼ)指定通りに現像したマリックス400ことフォマパン400、日中(昼間)の写真。現像から引き揚げたとき、フィルムがかなり薄い仕上がりだったので心配したけど、スキャンしたらしっかり結像していてひと安心。

ただ、ミクロファインのときと比べてコントラストが若干低く、シャープネスも精彩を欠き、黒も中間も締まりがない印象を受けました。マリックス400(フォマパン400)×SPDで7分は短すぎたか、それとも撹拌が甘かったか!?
SPDとマリックス400(フォマパン400)夕暮れ・夜の写真


一方こちらは夕暮れ・夜の写真。ズミルックス35mmで撮影した写真でして、レンズが存分に自分らしさを発揮してしまい、現像液の評価が難しい(-_-;) もっと粒状感出るのかなと思ったけど、想像(期待?)したほどは出ずになめらかスムーズ。ただ、スキャン撮って出しのコントラストとシャープネスが低い印象は変わらず、要フォトショップ案件です。
SPDとマリックス400(フォマパン400)室内・人物/猫の写真

続いては室内で撮った写真。ピントの加減なのか、露出のせいなのか、ちょっと粒状感が目立ち、なんだかちょっと古臭い(クラシックな?)仕上がりに。ここで掲載している135の写真はすべて一緒にSPDで現像したものなので、現像条件は同じ。ということは、撮り方次第で粒状感が目立つようになったりするのかな??


一方こちらは室内の猫写真。粒状感はそれほど目立たず、はてさて・・・!? レンズがズミルックス35mmとゾナー40mmで異なるために一概に比較できないものの、ゾナーはSPDで現像しても等しくシャープでコントラスト高いでありますな。しかも、なぜかピント合うし(目測なのに・・・)。
SPD(スーパープロドール)でフォマパン400(120)を現像してみた
135のマリックス400(フォマパン400)の仕上がりを確かめましたで、次はブローニー判(120)をSPDで現像してみようそうしよう。という訳で、早速にローライフレックスに今度は正真正銘フォマパン400純正を詰めてみました。
ブローニー判フォマパン400をSPDで現像してみた

使用フィルムはフォマパン400のブローニー判、使用カメラはローライフレックス、現像条件は20℃/1:1で、時間を1分伸ばして8分で現像。中判の凄みと、イエローフィルター効果を加味しつつ、現像時間を1分伸ばすとコントラストが増しますな。
一方、粒状感は顕著に増えている印象がありません。ふむふむ、フォマパン400(マリックス400)は20℃・8分が良い落としどころに近いかも!?
中判では露光不足に気を付けたい


こちらは同じタイミングで現像したフォマパン400×SPDの室内写真。室内で暗く、さらにちょっとアンダー気味だったせいで、なかなかフォマパンらしい粗さが出てきてしまった(;´Д`)
室内で撮る場合、特に中判は露光不足に気を付けたいかもしれません。もしくは、フィルムをより微粒子なものにするとか。
早い安いSPD(スーパープロドール)
ではでは、SPDの試し現像をしてみての感想をひと思いにまとめてしまいたいと思います。総じて申しますと、SPDは「早い、安い、楽」であります。
SPD(スーパープロドール)を初めて使ってみての感想

SPDの早いところは、もちろん現像時間。1対1希釈で8分程度はとても早い。フォマパン400をミクロファインで現像していたときは20℃で11分30秒くらいかけておりました。一気に3分も縮まると、後片付けまで含めた全体の現像時間が体感でかなり短くなった印象を受けました。
続いてのSPDの良さは安い。ミクロファインよりも実際に安く、すべての現像液の中で最安? このご時世、安さは正義です(´_ゝ`)
そしてSPDの楽とは、現像液をつくるのが楽。20~40℃の水に溶けるなんて、今の時期(夏)水道ひねるだけで現像液作り放題です。ミクロファインとか他の現像液D-76とかは50℃以上じゃないと十分溶けないし、作ってからも冷めるまで時間を要しておりました。SPDは水を温め、現像液を冷ます手間と時間が(ほぼ)不要。うん、これは楽、とても楽。
以上が、人生初のSPD(スーパープロドール)でフォマパン400(マリックス400)を現像してみた感想でした。何となく傾向が分かったし、これで安心してSPD使い続ける!? かな、どうかな!?
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